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コロナ禍に物資持ち寄り、助け合い 各地で「地域の食品庫」運動 政府は拡大に神経とがらす

最終更新: 5月29日


【9日=東京】新型コロナウイルスの感染拡大が続くフィリピンで、市民が物資を持ち寄り、無料で分かち合う「地域の食品庫(コミュニティ・パントリー)」と呼ばれる取り組みが広がっている。各地の通り沿いには即席の屋台が登場。サツマイモやキャベツといった食料品、石鹸やタオルなどの日用品がずらりと並んだ。


 きっかけは、世界最長の都市封鎖が続く、ルソン島のマニラ首都圏ケソン市。2021年4月14日に、アナ・パトリシア・ノンが自宅にあった食品や日用品を竹製のカートに載せ道端に置いた。誰でも自由に必要なものを持っていってもらえるようにした。


 ノンは、この都市封鎖による影響を最も受ける低所得層の人びとのことをいつも考えていた。フィリピン大学や活動家グループ、協力的な家族から、「自分が必要なものを人に与える」「民衆を信じ、民衆から学ぶ」ということを学んでいたノンにとって、この行動は当たり前のことだった。


 ノンの取り組みはSNSで拡散され、最初の数日10人ほどだった利用者は、すでに一日2000人を超えるまでになった。


 さらにその活動は、ノンの暮らすケソン市から700キロ以上南西に離れたミンダナオ島にまで広がった。「地域の食品庫」と呼ばれるようになった。


 ところが、全国に拡大する「地域の食品庫」に神経を尖らせているのが、国家警察だ。


 ノンも活動開始後ほどなく、ライフルをもったケソン市警察区の警官などに尋問され、一時的に活動の中止を余儀なくされた。同警察区や、政府の「共産党の武装闘争を終わらせるための国家タスクフォース(国家タスクフォース)」によって、SNS上で「赤(共産主義者)」のレッテル貼りをされたりもした。


 国家タスクフォースは4月20日、「地域の食品庫」の主催者の身辺や政治的思想などを調査しはじたことを認めた。


〈解説〉助け合いの精神や困難からの回復力こそが、フィリピン人の素晴らしさだといった評価がある。だが、ノンは、「『地域の食品庫』の急激な拡大は美辞麗句ですまされる事柄ではない。人びとの切迫した生活状況の表れなのだ」と冷静に述べる。

 国家警察や国家タスクフォースによる「赤」タグ付け(共産主義者のレッテル貼り)や取り締まりにも関わらず、食品の寄付、募金、SNSでの情報拡散など、さまざまな形で活動に参加する者が増加している。

 同タスクフォースは「『地域の食品庫』への寄付は共産党軍事部門新人民軍に流れている」と述べ、「地域の食品庫」が拡大しないよう、躍起になっている。しかし、この流れはまだ止まりそうにない。政府は19日、440万世帯の貧困層へ20米ドル(約2171円)を支給すると公表した。これは、3日分の食費に過ぎない。


〈Source〉

How a Community Pantry Sparked Movement of Mutual Aid in the Philippines, The News Lens, April 21, 2021.

Parlade admits profiling of community pantry organizers, Rappler, April 20 2021.

What the community pantry movement means for Filipinos, CNN, April 19, 2021.


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