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プレスの自由度ランキング、フィリピンは138位 「国境なき記者団」がジャーナリスト支援の特設サイトを開設

最終更新: 5月29日


[写真] RSFが開設した支援サイトのトップ画面

【6日=東京】ジャーナリストの国際NGO「国境なき記者団」(RSF: Reporters Sans Frontières、本部パリ)は、2021年の世界各国のプレスの自由度ランキングを発表した。調査対象とした180カ国・地域のうち、フィリピンは前年から二つ順位を下げて138位だった。


 4月20日に発表した報告書によると、独立メディア「ラプラー」のCEO兼編集長、マリア・レッサ氏の逮捕やテレビ局ABS-CBNの放送免許取り消しなどを挙げた上で、親ドゥテルテ派のネット集団がジャーナリストやメディア組織に対して、SNSなどのインターネットを利用した嫌がらせやサイバー攻撃を増大させていることに警鐘を鳴らした。「赤(共産主義者)のレッテル貼り」が進行していることへ危険性も指摘した。


 RSFは「ドゥテルテ政権下で、政権に対してあえて過度な批判をするジャーナリストに圧力をかけるための様々な手法が編み出されている」としている。


 また、RSFはレッサ氏を支援するキャンペーンを開始し、特設サイト「# HOLDTHELINE FOR MARIA RESSA」をもうけた。「Hold the Line (私たちは譲らない)」はジャーナリストへの圧力と弾圧に抵抗する中で、プレスの自由を守る合言葉としてジャーナリストに使われるようになった。


 フィリピン・ジャーナリスト連合(NUJP)によると、ドゥテルテ政権の発足以降、2020年12月末現在で19人のジャーナリストが殺害されている。今月2日にフィリピン中部パナイ島 で、フィリピン・ジャーナリスト連合カピス州支部長だったジョン・ヘレディアさん(54)が殺害され、20人目の犠牲者となった。


〈解説〉日本のランキングは順位を一つ下げて67位だった。「国境なき記者団」(RSF)は、福島第一原発事故や沖縄の米軍駐留などのテーマを扱うジャーナリストに対して、民族主義的な集団が嫌がらせを行っていると指摘し、警鐘を鳴らした。記者クラブ制度の閉鎖性も指摘した。

 この警鐘は今回初めて指摘されたことではない。そして、この警鐘は日本政府に対して向けられたものだけではなく、マスコミ記者やフリーランスを含めたジャーナリスト自身にも向けられたメッセージであることに留意しなければならないだろう。「日本のジャーナリストのみなさん、あなたはどうするんですか?」と。しかしながら、日本では、この警鐘に応答し、プレスの自由を守る、ジャーナリストによる当事者ムーブメントは一向に可視化されていない。なぜなら、RSFが指摘した”警鐘”は、変えようと思えばすぐに対処できるレベルのものなのに、放置されたままだからだ。殺される話でもない。どこか、他人事だ。

 フィリピンでのプレスの自由の侵害は苛烈なものがある。だが、プレスの自由を守るムーブメントをジャーナリスト自身が当事者として担い、作り出していることに注目する必要がある。職能(プロフェッション)に基づくユニオンが存在し、「Hold the Line」の言葉のもと、所属の有無を超えて僚友とつながり、プレスの自由を侵害する権力からの攻撃に抵抗している。

 フィリピンという国は「プレスの自由度ランキング」では日本に大きく水を開けれらてはいるが、プレスの自由を守ろうというムーブメントは確固として市民社会に存在感を示している。フィリピンのジャーナリストたちのジャーナリズムへの献身と貢献、僚友との連帯感は、はるかに日本のジャーナリストたちを凌駕しているのではないだろうか。

 プレスの自由度ランキングは、その国のジャーナリストの質を示す指標でない。


〈Source〉

RSF, 2021, 2021 World Press Freedom Index.

ホセ・ハイメ・エスピナ, 2021, 「19人のジャーナリストが殺害 増加する『自己規制』」『世界』岩波書店, 944:266.

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